移動
無人車の運動性能が向上するにつれて、事故の確率はドライブよりもモバイルの方が圧倒的に低くなります。間違いを起こしやすい人間が、自ら運転するという行為が、徐々に乱暴に感じられるようになるでしょう。時速200キロで運行している無人車ハイウエーにドライブ車は入ることができず、低速ドライブウエーを利用せざるを得ないような事態も想像に難くありません。
また、クルマは移動手段というよりも、通信手段や休息場所として重要になっていくかもしれません。眠りながら移動するのです。手動運転よりも格段に安全が保障されるなら人々はクルマの中で睡眠をとるようになるでしょう。
さらにクルマは、僻地や異界に建てられた別荘のような、インフラから隔絶した施設にエネルギーを供給する役割を担うようになるかもしれません。クルマと繋がることで家に電気が供給され、施設はエネルギーを得て活性するのです。
また、旅客機や新幹線のような都市間移動に加えて、小型機で全国津々浦々の景勝地を結ぶ「ピンポイント航空」が徐々に拡充されていくかもしれません。水陸両用機を活用し海に離着陸できるなら、海は全て滑走路に、小さな漁港はそのまま空港になります。海に張り出した半島を結んでいく「半島航空」などを想定すると、それだけで日本列島は魅力的に見えます。雲の下を飛ぶ「低空飛行」も景観を楽しむにはいいかもしれません。都市間の大量移送に加えて、ピンポイントを結ぶ少人数の移送が、空路の新しい価値を拓いていきます。