HOUSE VISION 研究会報告|日本

HOUSE VISION 研究会報告

「新しい常識で都市で暮らす」こととは何かを探りつつ、「家」をテーマとして企業や業界を横断するアライアンスを組み、新しいヴィジョンを導き出すことをめざして立ち上げた研究会。この研究会を通して、都市と家の可能性を探り、新しい産業の土壌を耕していこうというのが大きな目標である。月1回程度、企業と建築家が対話を行い、新たな都市や住み方の常識を探る。

日本

2011年初頭より活動を開始。その後、2011年シンポジウム、HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITIONや各国の研究会へと派生した、「HOUSE VISION」の始まりとなる第一回目の研究会が行われた。

インドネシア

2013年5月に現地運営事務局を設置。総合地球環境学研究所のメンバーの協力により、現地研究者および建築家との運営体制が設立された。2013年5月から2014年4月までの1年間、月に一度(12回)のトークセッションを開催。2014年5月からは具体的に展覧会に向けての準備を開始。

中国

中国の研究会は、2011年夏から断続的に行われている。北京、上海、深圳、成都の4都市を中心とし、現地住宅の訪問調査やウェブアンケートなども行う。2012年3月に日本と中国から建築家を招待してシンポジウムを行い、日本側からは、1970年代以降の住宅の変遷をたどりながら、現代の建築をどう読むかなどをテーマにプレゼンが行われた。中国側からは、この20年の中国の住宅事情と課題について研究者・建築家から提言がなされた。大量の住宅不足を解決しなければならない中国の事情の中で、どのような住宅のプロトタイプを考えるのかが大きなテーマであった。その後、2013年秋から再度本格的に展覧会にむけての取り組みを開始した。現在メインスポンサー候補と打ち合わせをしながら、同時に現地の建築家と2ヶ月に1度のペースで研究会を開催している。これまでの研究会においては、「高齢化住宅」「都市のモビリティとしての自転車」「隠居」「蟻居」といった、中国の現代都市が抱える様々な社会課題に深くコミットしたトピックが議論されてきている。

マレーシア

2013年夏から活動を開始し、日本ペイントが開催したアジアでの学生建築アワードの支援をきっかけに、マレーシア企業との関係を深めてきた。2014年5月に建築家Kevin Low との接触により飛躍的に展開が深まり、現在、委員会を毎月開催している。12月からは公開の研究会およびワークショップをスタートする。他の開催都市と比べても歴史の短いクアラルンプールは、毎月行くたびに街の風景が変わるほど急速に都市開発が進んでいる。しかしながら高層ビルの谷間には古い街区が残り、マレー系、中華系、インド系などの民族の違いによるライフスタイルや所得の違い、また車中心の街区計画がヒューマンスケールの街を壊してしまっていることなど、様々な社会課題を抱えている。展覧会では、このようなローカルな課題を解決するためのデザイン提案を目指している。

タイ

2014年夏からキーマンとなる建築家達との話し合いを進めている。2014年12月には正式に第1回目の研究会をスタートさせる計画で準備中。バンコクは早くから東南アジアの拠点として発展し、特に日系自動車関連産業の生産拠点として、またアジアマーケットの拠点として重要な都市となっている。東南アジアの中でヨーロッパに占領されていない数少ない国で、いまだ王制を敷いていることもこの国の特徴と言える。美しい文化や伝統をまもりつつデザイン教育に力がいれられていることもあり、バンコクの建築家達はタイのみならず、アジア各地でアジアンテイストのリゾートの設計やインテリアなどで手腕を発揮。建築、家具、プロダクトなどそのデザインレベルは高く、さらなる発展する都市として東南アジアをリードしている。研究会、展覧会とも高いレベルでの企画が実現できると確信している。

ベトナム

2013年末から毎月ミーティングやトークセッションを行ってきた。ハノイ、ホーチミン2つの都市で多くの建築家を訪ね、ベトナムの建築の現状を把握し、LIXIL INAX VIETNAMの強力なサポートのもとで、正式なコミッティーメンバーの結成を模索し、今後の進め方を検討している。べトナムでは、15年以上前から村松伸氏を中心とした日本の研究者達が多くの実験的な試みをしている。特にC+Aの小嶋一浩氏によるハノイモデルは画期的な提案であった。15年たった今、再度そのモデルの意味を捉えなおそうとしている。最近は東京大学内藤廣研究室を卒業した、Vo Trong Nghiaの他、海外で勉強した若い建築家達が急速にその活動の幅を広げつつあり、今後の活躍が期待される。

台湾

2014年7月にキックオフイベントを行った。台湾は日本との関係も深く、日本の建築家も多数活躍しているが、現地の建築家がより積極的に世界へと飛び出して行く時期とも言える。またエスタブリッシュされた建築家から若い建築家への移行の時期も今きているとも感じている。HOUSE VISIONの取り組みが、文化、経済も発展した台湾で、「これからの暮らし」について考えるよい機会になればと考えている。