農業

TPPの交渉の結果、開放政策のあおりを受けて農業は打撃を受けますが、徐々に高効率あるいは高付加価値の農業が登場してきます。ハイテクノロジーを用いたバイオ工場のような農業が、大きな設備投資とともに生まれる一方で、「アート・フルーツ」と呼ばれる驚異的な高値で海外に販売されていく、付加価値の結晶のような農産物を栽培し、ブランド化を試みる若い経営者たちが現れているかもしれません。米も一部の地域では品質検査を共同で行い、厳密なブランド管理をおこなう組織も出現しているでしょう。
一方で、農業は趣味の領域にも広がり、小規模な作付けで好みの野菜や果樹を育て、凝った産物を収穫する人々も増えていきます。こういう人々の中から、高い価値を生み出す農産物が生み出される可能性もあります。
農の六次産業化は進んでいくでしょうが、三次産業であるサービスの方針から一次の生産法や二次の加工法が規定される傾向が強まっていくと想像されます。
農に対する制御のノウハウもインターネットを通じて共有が進み、ドローンは特殊な肥料や種苗をも、どこにでも運搬していきます。大きな耕作面積を一元管理するアメリカの農業とは異なり、耕作地を細分化し、超多品種高付加価値農業が盛んになり、日本の各地にできた高級ホテルやレストランの需用にこたえて、細やかに供給されるようになるでしょう。
他方では、複製農法と呼ばれる、植物の通常の生成過程を経ず、細胞を直接果実にしてしまうバイオ農法が編み出され物議を醸しているかもしれません。