CO―DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる

開催情報

2015.1.9|金|-11|日|

会場
POLYLOGUE (東京都中央区銀座4-9-13 日本デザインセンター13F)
登壇者
青木 淳/芦沢啓治/五十嵐 淳/
五十嵐太郎/石上純也/猪熊 純/
大西麻貴・
百田有希(o+h)/

門脇耕三/川添善行/隈 研吾/
榊原充大/柴田文江/島田 陽/

白井宏昌/末光弘和/鈴木 健/

鈴野浩一・禿 真哉(TORAFU ARCHITECTS)/
竹村真一/
谷尻 誠/塚本由晴/豊田啓介(noiz)/長坂 常/仲 俊治
/中村竜治/
永山祐子/西田 司/
羽鳥達也/馬場兼伸/深津貴之/
藤本壮介/
藤森泰司/
藤原徹平/
古澤大輔(リライトディベロップメント/日本大学理工学部)/

連 勇太朗/
山雄和真/山崎聖子/
村松 伸/鷲田祐一(五十音順)
主催
HOUSE VISION実行委員会
ご協賛・
ご協力企業
アミタ(未利用資源のリサイクル産業)/オムロン/Cassina ixc./コクヨ/

住友林業/
スリーボンド貿易/デンソー/東芝/TOTO/ナカダイ

(産業廃棄物処理業)/日本ペイント/
Panasonic/LIXIL/List

(不動産デベロップメント)
お問合せ
日本デザインセンター原デザイン研究所 HOUSE VISION事務局 担当:西
tel. 03-6264-0330
mail: info@house-vision.jp

開催内容

39回の研究会を経て、4年ぶりの開催となった
HOUSE VISIONシンポジウム。今回は30名の建築家と企業がペアを組み、
事前に1:1のヒヤリングを重ねながら、企業の技術や素材を「家」に
発展させた。シンポジウム当日、建築家が用意したのは
15分のプレゼンテーション。電気機器、住設備機器、家具、セキュリティ、
文房具、不動産ディベロッパーなど、さまざまな専門分野を持つ
16の企業に対し、それぞれの得意分野を掛け合わせた36提案が行われた。
さらに9つの講演を加え、3日間で合計45個もの「家」を
基軸とした未来の姿が発表されることとなった。

10:00
近未来の日本を仮想しつつ「家」を見つめる|原 研哉
10:30
生きている家との共生|永山裕子 × 電気機器分野

いくつもの小さなセンサーが家の表面を覆い、まるで生きているかのように“呼吸”する「うろこの家」を提案した。

10:45
分身|青木 淳 × 家電製品

リビングのあり方をテーマに、パーソナル化するテクノロジーを前提に、皆で共有する空間とはどのようなものか、その手がかりを探った。

11:00
オムロン・ハウス|青木 淳 × オムロン

人々と医療機関との間にはまる地域型サポートハブ。ハブのあり方と、それがあるときの社会像を「家」から考えた。

11:15
孫の家のための山育て:おじいちゃん、おばあちゃんからのおくりもの|塚本由晴(アトリエ・ワン) × 住友林業

「孫の家のための山育て」をテーマに、地域産業としての林業の捉え方、「買う家」から「育てる家」への可能性に言及した。

11:30
講演「家を持ち運ぶことは可能か?」|深津貴之

さらなる通信技術の発達による家のポータブル化の可能性について考察し、技術が活かされた未来像を示した。

11:45
コメント|原 研哉・土谷貞雄
12:00
休憩
13:00
講演「地球目線で都市と住まいを考える」|竹村真一

「触れる地球」という地球のような装置を使い、地球全体を俯瞰しながらエネルギー、土地などに関する「家」の可能性を探った。

13:30
受け継がれる家具|芦沢啓治 × Cassina ixc.

イタリアの老舗家具店であるCassina ixc.に対し「受け継がれる家具」の条件とその具体的なかたちを示した。

13:45
家具と家、家具の家|島田 陽 × Cassina ixc.

家と家具の境界線をなくしてきた島田氏らしく、階段や手すり窓などの住まいのパーツを「家具」として捉えた家のあり方を紹介した。

14:00
Mobili|長坂 常 × Cassina ixc.

住空間を構成する部分と空間の関係を読み替えた。家具が生み出す新たな空間の可能性と、具体的な家具の姿を紹介した。

14:15
Cassina Studio|青木 淳 × Cassina ixc.

Cassina ixc.に対して、使えなくなった家具をデザイナーが修復し、価値を高めるという家具のコンバージョンについての提案を行った。

14:45
コメント|原 研哉・土谷貞雄
15:00
休憩
15:30
住宅のモダリティ:人/家/知覚|豊田啓介(noiz) × 東芝

東芝に対して、テクノロジーによる人と環境、人と家のインタラクションの深化が生み出す新しい「家」のあり方に迫った。

15:45
移動しながら暮らす家|末光弘和 × 東芝

エネルギー、モノ、ヒトの再調整を提案。IOTの技術を用いた収納空間や人から解放されるモノの未来を示した。

16:00
自転車と家と街との新しい関係|鈴野浩一・禿 真哉(TORAFU ARCHITECTS)× Panasonic

パナソニックに対し、電動自転車を媒介として、人と家、家と街の新しい関係図を提案した。

16:15
講演「リレーショナル・アーキテクチャー」|五十嵐太郎

建築史、建築批評家の五十嵐太郎氏による、つながる建築をテーマとした講演。

16:45
新しい生産と生活の森|藤原徹平 × 住友林業 × ウェブポータルプラットフォーム

藤原徹平氏は、産業として森を守ることが「家」に生み出す影響と、森林と建築の間に生まれる新たなつながりについて語った。

17:00
働く場所にホームが宿る|藤原徹平 × コクヨ × ナカダイ

続けて登壇した藤原氏。コクヨとナカダイに対し「オフィス」を中心においた時の暮らし方、家のあり方を紹介した。

17:15
古材から家を考える|榊田倫之 × 住友林業

前回のHOUSE VISIONで杉本博氏とともに「数奇の家」を発表した榊田倫之氏。古材が秘める価値の様相を探った。

17:30
コメント|原 研哉・土谷貞雄
17:45
終了

「自分たちにとって伝統的な素材や、文化、美意識がテクノロジーと
結びついたときに、西洋文化が作ったものとは異なる家のかたちが
立ち上がっていきます。その感覚が、建築家やディベロッパー、
そして生活者に共有された瞬間に、ときめくことが起こるかもしれない。
家を基軸としたHOUSE VISIONの活動が、住宅産業、建築産業を越えた
アジア全体の大きな産業のうねりへとつながっていくことを願います」
世話人 原 研哉の言葉で2日目は幕をあけた。

10:00
分かれてつながる/離れてあつまる|原 研哉
10:30
横浜市役所コンバージョン|仲 俊治 × List

横浜の既存の建物をベースに、ウォーターユニットやドライユニットを組み合わせた、都市の読み替えを示した。

10:45
流動する暮らし方と家|山雄和真 × List

定置借地権を利用し、小さな土地、小さな家から、流動性の高い住宅所有のあり方を提言した。

11:00
クラウド・ハウジング(The Crowd Housing)|門脇耕三 × List

横浜市の地形的特徴から生まれる造形物を地域共有の「スケルトン」とし、新しい都市のかたちを提案した。

11:15
Adaptive Development|馬場兼伸 × List

住宅の基本構造をなかなか置き換えにくいものとして捉えつつも、そこに新しい見立てを作り、空間や都市の景観の変化に対する新しい視点を示した。

11:30
内と外の間(あいだ)|五十嵐 淳 × YKK AP

以前より窓に焦点を絞った考察を重ねる五十嵐淳氏。YKK.APと組み、新しい呼吸をする家の種を蒔いた。

11:45
家具と部屋の間(あいだ)|藤森泰司 × TOTO

TOTOとペアを組んだ藤森泰司氏。強固な常識のようなものが生活者のなかに装着されているといわれる日本において、既存の仕組み、法やイメージ、常識などを前提とした、リアルな考察を行った。

12:00
コメント|原 研哉・土谷貞雄
12:15
休憩
13:15
講演「2025年の日本─未来洞察研究から」|鷲田祐一

マーケティングの研究者の立場から語った鷲田氏。「だったりして」という視点を持ち、未来を仮想してみることがロジックとは違った未来への刺激になるという指針を示した。

13:45
個がつながる時代の、新しいリビングを考える|猪熊 純 × デンソー × 画像技術

シェアリングについて長年考えてきた猪熊氏は、デリカシーを前提に置きつつ、個が外に開くというだけではなく、いろいろな人が入ってくる可能性があるリビングのかたちを2社の技術を使って表現した。

14:00
10,000㎡の自然に住まう|川添善行 × デンソー

デンソーの技術を細かく解体して、建築のかたちとして再構築すると、全く新しい家ができてくるという視点を提示した。

14:15
講演「都市に開く建築」|藤本壮介

「都市に開く建築」をテーマに語った藤本氏。技術と人間の高度なバランスを模索する藤本氏らしく、松かさが開いているような、花咲いているような建築の姿を紹介した。

14:45
コメント|原 研哉・土谷貞雄
15:00
休憩
15:30
小さな経済の住宅|仲 俊治 × LIXIL

3回目の登場となった仲氏。住み手自らが「小さな経済」を営める仕組みを備えた住宅を紹介。建築だけではなくC to Cの小さな経済を営むことができる社会の可能性を提示した。

15:45
タワーマンションの未来─循環する住まいによる都市の再生─|古澤大輔(リライトデベロップメント/日本大学理工学部) × LIXIL

ストック住宅が増えるなかで住宅を売るということの問題点、そしてタワーマンションのディベロッパーとしてのLIXILについて提言した。

16:00
はたらく家|柴田文江 × LIXIL

プロダクトデザイナーとしての幅広い視点から、空間に「壁化していく」トイレのデザインを通し、新しい住設備のあり方を示した。

16:15
講演「これからの暮らし方・死に方」|隈 研吾

住宅の持ち家政策が経済を回していく仕組み、家を持つことが永遠に住み手を幸せにするという「幻想」に対する鋭い視点を示した。

16:45
手放されるもの、必要とするもの|榊原充大 × アミタ

物の始末の仕方を通して、「私というものをどう始末するか」ということに対する問いを投げかけた。

17:00
HOUSE WORK HOUSE─かたづく家×しぶとい家|羽鳥達也 × 東芝 × アミタ

東芝と、未使用資源のリサイクルを行うアミタの技術をもとに、家のものをすべて記録し、最適化された生活を提示した。

17:15
LIFE CORE建築|内海智行 × LIXIL

「LIFE CORE」をテーマとしたLIXILへの提案。これまで建築に帰属していた人間生活のミニマルな要素が、次第に身体に近いところに変化していく姿を紹介した。

17:45
コメント|原 研哉・土谷貞雄
18:00
終了

「例えば日本とアジア、農業と観光、人口と幸福など、今までの思考の
フレームでは考えられなかった答えが「家」を基軸にすると、解けてくる。
地球規模の視点から家具の話まで、この3日間を通してHOUSE VISIONは、
新しい知の運動ともいえる教養の地盤を作りはじめているように感じられた」

10:00
HOUSE VISION 2016に向けて|原 研哉
10:30
眠りの家|谷尻 誠 × オムロン

建築的欲望を咀嚼されて具体的に実践している谷尻氏のテーマは「眠り」。空気のように伸び縮みする家が印象的だった。

10:45
眠りのための空間|中村竜治 × オムロン

「眠り」という巨大なテーマに対し、オムロンの技術を活かした「着る眠り」、「眠る家具」など具体的なかたちで解を示した。

11:00
モノと空間をつなぐミライの方眼紙|白井宏昌 × コクヨ

デジタルノートを用いて、住まい手か自らが家を設計していく仕組みを提案した。

11:15
講演「膜・核・網」|鈴木 健

物流のコストの話や少子化の話などを通して、社会の構造が激変することで家のかたちも根底から変わっていくという当たり前のことを刺激的に示した。

11:45
コメント|原 研哉・土谷貞雄
12:00
休憩
13:00
街に住むこと/家に住むこと─未来のおばあちゃんち─|西田 司 × セキュリティサービス

住まい手と同時にコミュニティの核となる存在として「おばあちゃん」想定し、おばあちゃんによるセキュリティのかたちを示した。

13:15
開くセキュリティ|大西麻貴・百田有希 (o+h) × セキュリティサービス

大西氏、百田氏は、地域の開かれたコミュニティを活かした「家」のセキュリティの例を紹介した。

13:30
開く家のセキュリティ|山雄和真 × セキュリティサービス

自社オフィスの1階を展示、イベントスペースとして開いた経験から「開く家のセキュリティ」について提言した。

13:45
講演「世界価値観調査から人々の価値観を描く」|山﨑聖子

統計学の視点から確約された未来としての社会のかたちを背景とした家のあり方を示した。

14:15
コメント|原 研哉・土谷貞雄
14:30
休憩
15:00
色を変える、色が変える:モノ・人・まち|白井宏昌 × 日本ペイント

「色」をテーマとし、住まいを見つめた白井氏。色の歴史、文化、技術としての色を例にあげながら、色を使った人と空間の関係づくりを提言した。

15:15
町に余白をつくるペイント|連 勇太朗 × 日本ペイント

架空のディベロッパーを立ち上げ、仮想空間において空き家を朱色に塗ることで余白を生み出す町づくりを実践し、その可能性を示した。

15:30
講演「地球環境時代のHOUSE VISION in ASIAの意味」|村松 伸

アジアにおけるシンポジウムではプロジェクトメンバーとして参加した村松氏。HOUSE VISIONをアジア全体に拡張していった過程を紹介した。

16:00
総括コメント|土谷貞雄
16:30
総括コメント|原 研哉

「人間の思考には限界があります。食料、飢餓、格差、空間、環境について人間は「私」という一世代の利益を超越し、遠い未来の繁栄のために「私の今」を我慢できない。では、どうすればよいか。仮想的推論、つまり「だったりして…」ということを目の前に提示し続け、未来をストーリー化して活動させていく。そうすることで、一見悲惨そうに見える状況のなかにも具体的な未来の道筋が見えてくるのではないかと考えています。HOUSE VISIONでは、従来とは異なる知のかたちを希求してみたいと考えます。今の政治は、どちらかというと悲惨な未来のフォーカスポイントをできるだけ甘くしているようにも感じますが、私たちは、少なくとも未来に関しては、はっきりとした焦点を持って活動していきたいと思います。「だったりして…」のイメージを明確に持ちながら、そこに向かって一歩を踏み出していく。この3日間は、2016年に向けての種まきです。展覧会をやるということは、具体的な家をつくるということです。今回はそのヒントになるような種が手に入ったのではないかと、手応えを感じています」

17:00
終了