中国の活動「理想家」
中国での活動を「理想家」と呼んですでに1年以上続けている。もともと中国でのHOUSE VISIONは日本とほぼ同時期の2011年夏から始まり2012年3月にはシンポジウムも行った。当時は中国の課題を考えていくための研究や調査を主体としたものだったが、今では15名の建築家と一緒に、日本と同様に「未来の暮らし像」を産業との組み合わせで考えている。住宅の価格の高騰と住宅不足は未だ解決されない中国では、限られた面積でどのように高密度な都市を実現させていくかということが議論されている。シェアであったり、コンパクトであったり、社会的背景は違うものの、他の国とソリューションへの方向性は似ているともいえそうだ。
こうした方向性を後押しするのは産業の変化、インターネットの普及だ。広い大陸を持つ中国では、店で物を買うことよりネットでの注文の方がはるかに便利であり、ネットショッピングは人々の生活に深く浸透し始めている。自分の家のリフォームをインターネット上で見積もりをし、注文をするというビジネスも広く普及している。
急激な高度成長は富裕層を生みだし、すでに物に満たされた生活をおくる人も増えてきている(成長時代と成熟時代が同時に進行しているのはアジア全体の特徴ともいえる)。人口が縮小に突入し、決して労働力が安いというわけではなくなった中国の産業は、二次産業から三次産業へとその主流を移しつつあるようだ。
これらの複合的な背景によって変化した所有への意識と家の持ち方について中国の若手建築家たちとのワーキングでは取り組んでいる。例えば、10平米前後のボックスを既存の都市の中に埋め込む手法や、必要な時に必要な機能を借りて暮らしをエクステンドする手法、ネットでの調達方法や車との連携で動く家など。HOUSE VISIONらしい住宅産業以外の産業との取り組みで、暮らしの変化を具体的な「かたち」として見せられるように、来年早々のシンポジウムに向けて準備真っ最中である。今からそのアウトプットが楽しみだ。
中国今後のスケジュール
- 2015年11月25日
- ワーキング意見交換、公開シンポジウム
- 2016年1月20日前後
- シンポジウム、15名の建築家による「2025年の暮らしの未来」
- 2016年6月
- ベニスビエンナーレでの書籍発表とシンポジウム
- その後
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2017年後半から2018年春の北京での展覧会実現を目標に活動している参加建築家は以下15名で中国全土から参加の予定。
その後 2017年後半から2018年春の北京での展覧会実現を目標に活動している参加建築家および研究者は以下14名で中国全土から参加の予定。
建築家
马岩松 | Ma Yansong(MAD)・北京
王 昀 | Wang Yun ・北京
华黎 | Hua Li(TAO)・北京
刘家琨 | Liu Jiakun・杭州
张永和 | Zhang Yonghe・北京
张轲 | Zhang Ke・北京
张雷 | Zhang Lei・南京
梁井宇 | Liang Jingyu・北京
大舍建筑设计事务所 | ATELIER DESHAUS・上海
如恩设计研究室 | neri & hu・上海
Crossboundaries Architects 建筑事务所 | Crossboundaries Architects・北京
NEXT 建筑事务所 | NEXT Architects・北京
都市实践 | URBANUS・深圳
研究者
周燕珉 | Zhou Yanmin・北京
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