分かれてつながる/離れてあつまる/ふたたび
「HOUSE VISION 2/2016東京展」は無事閉幕しました。最終日は5000人を超える記録的な入場で、会期を経るごとに入場者数がうなぎのぼりに拡大していく入場傾向と、若い人々がひしめく熱気に、主催者側も大きな高揚感を得ることができました。当初より海外メディアの取材が多く、結果として海外からの来場比率が非常に高かったことも今回の特徴でした。
展覧会テーマ「Co-dividual 分かれてつながる 離れてあつまる」は、これ以上ないほどに分断されてしまったコミュニティや家族、人口減少が進む地域、少子高齢化が進む社会、さらには細分化されてしまったテクノロジーなどの現代の課題を、いかに新たな環境の中で再統合していくかという視点を提供するものでした。
会場で毎日催された50回を超えるトークセッションにおいては、社会学者、哲学者、ビットマネーの発案者、建築家、デザイナー、自治体職員、教育者、企業経営者、エンジニア、農水省や国交省、農業事業者、旅館経営者などなど、多様な専門性や視点を交えて、上記の問題を多角的に討論しました。「家」は、まさに社会や世界、そして未来の諸問題を共通に討議していくプラットホームとして機能していたと実感しています。
展示ハウスは撤去され、会場は跡形もなくコンクリートの地面に戻りますが、「吉野杉の家」、「棚田オフィス」「ウッドデッキ」や「木組み」などは、展覧会後も日本各地に運ばれ、あるものは再現され、あるものは資材として形を変えて再利用されていきます。
ここで生まれた発想も、多くの人々の頭や心に胚胎し、育っていくものと期待いたします。私たちも、この活動の火を絶やさず、さらに地道に、活動を続けていきたいと考えています。今後ともHOUSE VISIONの活動に、変わらずご注目ください。
多くのご来場に、あらためて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
HOUSE VISION 2/2016東京展
ディレクター 原研哉
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[会場構成]
隈 研吾
[家具展示]
Cassina ixc.
[書店]蔦屋書店
[シンボルツリー]
住友林業緑化 ┼ そら植物園 -
[冷蔵庫が外から開く家]
ヤマトホールディングス ┼ 柴田文江 -
[吉野杉の家]
Airbnb ┼ 長谷川 豪 -
[の家]
Panasonic ┼ 永山祐子 -
[棚田オフィス]
無印良品 ┼ アトリエ・ワン -
[遊動の家]
三越伊勢丹 ┼ 谷尻 誠・吉田 愛 -
[賃貸空間タワー]
大東建託 ┼ 藤本壮介 -
[凝縮と開放の家]
LIXIL ┼ 坂 茂 -
[市松の水辺]
住友林業 ┼ 西畠清順 ┼ 隈 研吾(会場構成) -
[木目の家]
凸版印刷 ┼ 日本デザインセンター
原デザイン研究所 -
[内と外の間/
家具と部屋の間]
TOTO・YKK AP ┼ 五十嵐 淳・藤森泰司 -
[グランド・サード・リビング]
TOYOTA ┼ 隈 研吾 -
[電波の屋根を持つ家]
カルチュア・コンビニエンス・クラブ ┼ 日本デザインセンター
原デザイン研究所(展示デザイン)
┼ 中島信也(映像制作) -
[冷涼珈琲店─煎]
AGF ┼ 長谷川 豪
CO-DIVIDUAL
分かれてつながる、離れてあつまる
HOUSE VISIONは「家」をさまざまな産業の交差点、
つまり未来を投影する理想的なプラットフォームと考えます。
エネルギーも、通信も、移動も、高齢化社会の可能性も、
都市と地域の関係も、里山や棚田の保全の問題も、
分断された家族が再びつながる方法も「家」を起点に考えると
そこに潜在している可能性が鮮明に見えてきます。
HOUSE VISION2 2016東京展のテーマは
「CO-DIVIDUAL分かれてつながる、離れてあつまる」です。
個に分断された人々、都市と地域、あるいは
テクノロジーの断片を、どのように再集合させるか。その具体案を
「家」をめぐるアイデアとしてご覧ください。
AUDIO GUIDE
音声ガイドのアプリでは、
展覧会ディレクターの原研哉による
各展示ハウスの解説をお楽しみいただけます。
iPhone、Androidにて無料でご利用が可能。
App Store、Google Play for Androidにて
ダウンロードいただけます。
TALK EVENTS
JULY
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30SAT
-
13:00─14:30
藤本壮介 建築家
-
16:00─17:30
増田宗昭 カルチュア・コンビニエンス・
クラブ代表取締役社長兼CEO
×
原 研哉 デザイナー
-
-
31SUN
-
13:00─14:30
坂 茂 建築家
-
16:00─17:30
金井政明
良品計画代表取締役会長
×
塚本由晴
建築家/アトリエ・ワン代表
×
林 良樹
特定非営利活動法人うず理事長
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AUGUST
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1MON
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18:30─19:30
中田 英寿財団法人 TAKE ACTION FOUNDATION 代表理事
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-
2TUE
-
18:00─19:30
ナガオカケンメイD&DEPARTMENT PROJECT
代表取締役会長
-
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3WED
-
18:00─19:30
田島健夫 雅叙苑観光社長
×
梅原 真グラフィックデザイナー/
武蔵野美術大学客員教授
-
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4THU
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18:00─19:30
林 千晶
株式会社ロフトワーク
共同創業者 代表取締役
×
羽鳥達也 建築家
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5FRI
-
16:00─17:00
末光弘和 建築家
-
18:00─19:00
松浦弥太郎 「くらしのきほん」主宰/
エッセイスト
-
-
6SAT
-
16:00─17:00
永山祐子 建築家
-
18:00─19:30
西畠清順 プラントハンター
×
市川 晃 住友林業 代表取締役 執行役員社長
-
-
7SUN
-
13:00─14:30
青木弘司 建築家
×
猪熊純 建築家
×
白井良邦 CasaBRUTUS 副編集長 -
16:00─17:00
岡部明子
環境学博士/東京大学
-
-
8MON
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木の日 16:00─16:10
吉野 正芳 衆議院議員
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16:10─18:10
福田 淳
林野庁 木材利用課
×
杉本貴一
住友林業 木化営業部
×
貝島桃代
建築家 アトリエ・ワン
×
藤森泰司 家具デザイナー
-
-
9TUE
-
18:00─19:30
TOTO / YKK AP
×
五十嵐 淳 建築家
×
藤森泰司 家具デザイナー
-
-
10WED
-
奈良の日
13:30─15:20荒井正吾 奈良県知事
×
隈 研吾 建築家
×
古谷誠章 建築家/早稲田大学教授
-
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11THU
-
16:00─17:30
押谷光人 凸版印刷株式会社
ビジネスイノベーションセンター
ビジネス企画本部
マーケティング部長
×
原 研哉 デザイナー -
18:00─19:30
成瀬友梨 建築家
×
猪熊 純 建築家
×
長坂 常 建築家
×
林 千晶
株式会社ロフトワーク
共同創業者 代表取締役
-
-
12FRI
-
ASIA DAY
※トークイベント会場は終日貸切
-
-
13SAT
-
16:00─17:00
榊田倫之 建築家
-
18:00─19:30
鈴木輝隆 資源家/江戸川大学
×
隅田節子 人吉市教育委員会教育部
歴史遺産課長
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-
14SUN
-
14:00─15:00
諏訪光洋
株式会社ロフトワーク 共同代表
-
16:00─17:00
長谷川豪 建築家
-
18:00─19:30
川添善行 建築家
×
小林康夫 哲学者/東京大学名誉教授
-
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15MON
-
14:00─15:00
野池政宏 一般社団法人 Forward to 1985 energy life
代表理事 -
16:00─17:00
柴田文江
プロダクトデザイナー
-
-
16TUE
-
※台風7号の影響によりトークイベントは中止いたします。
-
16:00─17:00
鷲田祐一 一橋大学院商学研究科教授
×
根本かおり 株式会社博報堂 イノベーションデザイン
-
18:00─19:30
田川欣哉 takram design engineering 代表
-
-
17WED
-
ASIA DAY
16:00─17:30Martijn DE GEUS 建築家 北京在住
×
国広ジョージ建築家/国士舘大学教授 -
18:00─19:30
村松 伸 東京大学生産技術研究所教授
×
国広ジョージ建築家/国士舘大学教授
×
塚本由晴建築家/アトリエ・ワン代表
-
-
18THU
-
16:00─17:00
さわだいっせい YADOKARI株式会社 代表取締役 兼
アートディレクター
×
ウエスギセイタ YADOKARI株式会社 代表取締役 兼
プランナー -
18:00─19:30
鈴木 健 スマートニュース株式会社
代表取締役会長 共同CEO
×
阿部和彦
ヤマト運輸 広報戦略部長
-
-
19FRI
-
15:00─16:30
川本隆一株式会社LIXIL 取締役副社長
-
18:00─19:30
門脇耕三 建築学者/明治大学専任講師
×
南後由和 社会学者/明治大学専任講師
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20SAT
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14:00─15:00
西井敏恭 株式会社シンクロ代表取締役・
オイシックス株式会社CMO
×
成瀬 勇輝 起業家兼旅人
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16:30─17:30
藤村龍至 建築家
-
18:00─19:30
仲 俊治 建築家
×
西田 司 建築家
×
伊藤 暁 建築家
×
増田信吾 建築家
-
-
21SUN
-
16:00─18:00
隅田 徹
プラットイーズ取締役会長
×
野口あすか
奈良県吉野貯木区集落支援員
×
西口和雄
一般社団法人上山集楽代表理事
×
林 良樹
特定非営利活動法人うず理事長
×
山田貴宏 建築家
-
-
22MON
-
※台風の影響によりトークイベントは中止いたします。
-
16:00─17:00
四井真治 パーマカルチャーデザイナー/
株式会社ソイルデザイン代表取締役
-
17:30─19:30
山名清隆
ミズベリング・プロジェクト・
プロデューサー
×
服部充代
インテリア デザイナー
×
田中里佳
国土交通省 水管理・国土保全局
河川環境課 課長補佐
×
忽那裕樹
ランドスケープ デザイナー
×
岩本唯史
建築家/水辺総研
-
-
23TUE
-
16:00─17:30
沼倉正吾 DVERSE Inc. CEO
×
仲津正朗 Orb CEO
×
井口尊仁 DOKI DOKI Inc. CEO
-
18:00─19:30
島田 陽 建築家
-
-
24WED
-
14:00─15:00
間瀬昭一 独立行政法人都市再生機構
東日本賃貸住宅本部
ストック事業推進部長 × 白井康裕LIXIL WATER TECHNOLOGY
デザイン部 部長
-
16:00─17:00
五十嵐太郎
建築史家/建築評論家
-
18:00─19:30
小林 克満
大東建託株式会社
常務取締役
×
北川大祐
ひつじ不動産
代表取締役
×
岡崎新太郎
三菱地所レジデンス株式会社
商品企画部
商品企画業務室
業務グループ長
-
-
25THU
-
14:00─15:00
Andra Matin 建築家
-
16:00─17:00
丑田俊輔
ハバタク代表取締役/
シェアビレッジ御意見番
-
18:00─19:30
豊田啓介 建築家
-
-
26FRI
-
13:00─14:00
四井真治 パーマカルチャーデザイナー/
株式会社ソイルデザイン代表取締役
-
16:00─17:00
長沼博之 一般社団法人ソーシャル・デザイン
代表理事
×
中村真広 株式会社ツクルバ 代表取締役 CCO
-
18:00─19:30
鷲田祐一 一橋大学院商学研究科教授
×
齋藤滋規 東京工業大学 機械・宇宙システム専攻 准教授
-
-
27SAT
-
13:00─14:30
大西 洋 三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役社長
×
谷尻 誠 建築家
×
吉田 愛 建築家 -
18:00─19:00
石上純也 建築家
-
-
28SUN
-
13:00─14:30
豊島浩二 トヨタ自動車株式会社
製品企画本部 ZF チーフエンジニア
×
隈 研吾 建築家
-
16:00─17:00
伊東豊雄 建築家
-
18:00─19:00
原 研哉 デザイナー
×
土谷貞雄 HOUSE VISION 世話人
-
BOOKS
OUTLINE
- 会期
- 内覧会 2016年7月29日|金|
一般公開 2016年7月30日|土|─8月28日|日| 11:00─21:00 (最終入場受付 20:30) - 会場
- 臨海副都心J地区 〒135-0064 東京都江東区青海2丁目1
- 入場料
- 前売りチケット|一般 ¥1,500/学生 ¥1,300/一般3回券 ¥4,000/学生3回券 ¥3,000
入場チケット|一般 ¥1,800/学生 ¥1,500/一般3回券 ¥4,500/学生3回券 ¥3,500
未就学児・幼児・乳児は無料 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名)までは無料。
※学生の方は、受付時に学生証のご提示が必要となります。必ずご持参ください。
※天変地異によるイベント中止以外のチケット払戻しは行いません。 - 展覧会
ディレクター - 原研哉
- 企画
コーディネート - 土谷貞雄
- 主催
- HOUSE VISION実行委員会
- 制作・
進行 - 日本デザインセンター原デザイン研究所
- 会場構成
- 隈研吾
- 協賛
- カッシーナ・イクスシー│奈良県
- 展示・
会場設営 - TSP太陽
- 制作協力
- 住友林業│住友林業緑化│無印良品│LIXIL│凸版印刷│Panasonic│サンエムカラー│そら植物園│ナカサアンドパートナーズ│amana│日本デザインセンター
- 店舗出店
- 代官山蔦屋書店│Anjin│奈良県
- 問い合わせ先
- HOUSE VISION事務局 info@house-vision.jp
冷蔵庫が外から開くような家ができたらどうでしょう。この着想は2015年のHOUSE VISIONシンポジウムにおける鈴木健氏の発言に由来するものですが、冷静に考えると、それが実現できるほどに日本の物流のシステムは準備ができているのです。
荷物の配達と受け取りは人が行い、拠点間の物流は徹底したハイテク管理で高速化していく。また、こうしたサービスを安心安全に実現するセキュリティの仕組みも、センシングやデータ解析の技術がサポートしはじめています。
日本の家々の徒歩5分から10分の圏内に人を配し、物流の未来に準備ができているヤマトホールディングスと、ハイテクノロジーと人を優しいデザインでつなぐプロダクトデザイナー、柴田文江とのコラボレーションにより、新たなサービスを手の届く距離で感じていただきます。
INTERVIEW──柴田 文江
-
ヤマトホールディングス
1919年創業。「宅急便」を展開するヤマト運輸をはじめ、情報システム、決済、生活支援サービスなど、多くの事業会社を傘下に持つヤマトグループの持株会社。「宅急便」のネットワーク基盤にグループ各社の機能を融合させ、常に新しい価値の創造に挑戦し続けている。アジア各国でも宅急便事業を展開。日本から台湾、シンガポール、香港向けの国際クール宅急便もスタートさせた。
-
柴田文江 │ Fumie SHIBATA │ プロダクトデザイナー
エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションまで、インダストリアルデザインを軸に幅広い領域で活動をしている。代表的な作品に、無印良品「体にフィットするソファ」、オムロン「けんおんくん」、カプセルホテル「9h(ナインアワーズ)」、JR東日本ウォータービジネス「次世代自販機」、庖丁「庖丁工房タダフサ」、木のおもちゃ「buchi」などがある。
コミュニティ主導型のホスピタリティー企業として世界の先頭を走るAirbnbは、HOUSE VISIONを通して、奈良県の吉野町と新しいストーリーを作ろうとしています。吉野の杉を用いて、建築家、長谷川豪が設計するのは、コミュニティがホストとなることで地域との新しい関係を目指す家。この家の一階部分は、町の人々に解放されたコミュニティスペース。子育て中のお母さんたちが子供を遊ばせながらおしゃべりに興じたり、散歩中のお年寄りが立ち寄ってお茶を飲んだりという、自由な用途に開放されます。
一方、二階の三角屋根の屋根裏部屋は、外からやってくるゲストたちが宿泊する空間です。会期終了後は再び吉野町に運ばれ、Airbnbに登録される予定です。東に向いた日の出の部屋と、西向きの日の入りの部屋。吉野町への移築後は川沿いに設置されます。Airbnbを利用して旅する人々の興味は、より深く現地と付き合うこと。地域の人々と、そこを訪れる人の新たな関係を創出する家です。
INTERVIEW──長谷川 豪
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Airbnb
コンセプトは「暮らすように旅をしよう」。2008年サンフランシスコで創業。世界中のユニークな宿泊施設や一般家庭の空き部屋を、インターネットや携帯電話を通じて貸し借りできるマーケットプレイスを生み出した。今や世界192カ国、35,000以上の都市で、多い時には1日100万人を超える人々がAirbnbを使い、他人の家に宿泊している。そこで生まれた人々のつながりは「家」「仕事」「コミュニティー」の根本的な考えを変えはじめている。
-
長谷川 豪 │ Go HASEGAWA │ 建築家
1977年埼玉県生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了後、西沢大良建築設計事務所勤務を経て2005年長谷川豪建築設計事務所設立。東京工業大学非常勤講師、メンドリジオ建築アカデミー客員教授、オスロ建築大学客員教授を歴任。現在カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)客員教授。主な受賞歴に、平成19年東京建築士会住宅建築賞金賞、第24回新建築 賞、AR Design Vanguard 2014。新刊にヨーロッパ建築家へのインタビューをまとめた『長谷川 豪 カンバセーションズ』(LIXIL出版, 2015)
進化する家は、全体としてひとつの家電のようになります。「三匹の子豚」の3つの家の中で建築家、永山祐子が好ましいと考えるのは、軽くて狼に吹き飛ばされてしまう「ワラの家」。堅牢なレンガの家にはない軽さと繊細さがいいと言います。
「の家」は「の」の字型の丸い壁面に囲まれていて、入り口から室内に自然に導かれます。曲面の壁はすべてがスクリーンとなり、家の中のどこにいても映画やテレビ電話、webサイトが自在に楽しめます。屋根の登頂には風見鶏のセンサーが付いていて、外気の状態を敏感に察知し、室内の住人にさりげなく知らせます。
キッチンはアイランドとして独立し、風呂やトイレは中央部にまとまり、その上が寝室になります。中央部は四角く設計されていて、この壁を背にすることで、無意識に空間が区画されますが、現実にはシームレスにつながる居住空間です。
四角い隅を持ち、そこに四角い家具や家電を配置するこれまでの空間構成から解放された、俊敏でデリケートな家です。
INTERVIEW──永山祐子
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Panasonic
1918年創業の総合エレクトロニクスメーカー。世界中の「くらし」の向上と社会の発展に貢献することを基本理念とし、家電、住宅、車載、B to Bソリューション、デバイスの5つの領域から「A Better Life, A Better World」の実現を目指している。家をはじめとして、オフィス、店舗、自動車、航空機、さらに街まで、人々が活動する様々な空間におけるハード・ソフト・サービス にまたがる総合的な提案を行っている。
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永山祐子 │ Yuko NAGAYAMA │ 建築家
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998─2002年青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。主な仕事に、「LOUIS VUITTON 京都大丸店」、「丘のある家」、「ANTEPRIMA Singapore ION店」、「カヤバ珈琲」、「SISII PRESSROOM」「木屋旅館」「豊島横尾館」など。ロレアル賞奨励賞、JCDデザイン賞奨励賞、AR Award(s UK)優秀賞、ARCHITECTURAL RECORD Award, Design Vanguard 2012など受賞。
都市と農村の二拠点居住を構想するのは無印良品と建築家、アトリエ・ワン。無印良品は、房総半島の中央部にある「釜沼」という集落と交流をしています。日本のどこにでもある里山ですが、米作りに携わる人々は高齢化し、田植えや稲刈りには少し人手がほしい。無印良品はその時期に一般の人々に声をかけ、田植えや稲刈りをささやかなイベントとして人々を集め、この地のお手伝いをしているのです。
収量は経済的に僅かですが、米作りは経済に資するだけのものではありません。稲は日本の風土そのもの。日本人の文化の中に米が育まれたのではなく、稲の中に日本文化が産み落とされたのです。田の管理は治水の知恵と美しい景観を生み出し、収穫を迎えたのちには余った藁は縄は草鞋、正月飾りになっていきます。そういう暮らしを絶やしてはいけないと、日本人なら直感的に感じます。
パソコン一台でどこでも仕事のできる人たちが、稲田の光景を見ながら仕事をする。そんな拠点が「棚田オフィス」です。
INTERVIEW──アトリエ・ワン
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無印良品
1980年「わけあって、安い」をキャッチフレーズに消費社会へのアンチテーゼとして生まれた無印良品。商品開発の基本は、生活に本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。生活美学を大切にするという視点から「感じ良いくらし」を探求し続けている。『無印良品の家』では、「永く使える、変えられる」をコンセプトに、住まい手が自在に暮らしの形を編集できる丈夫で可変性に富んだ家を提案。「家具の家」は「木の家」「窓の家」に続く新しい無印良品の家。
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アトリエ・ワン │ Atelier Bow-Wow │ 建築家
1992年、塚本由晴と貝島桃代によりアトリエ・ワン設立。2015年、玉井洋一がアトリエ・ワンのパートナーとなる。国内外での住宅、公共空間の設計や、建築・都市空間についての民族誌的な研究を通して、自然と人とモノのふるまいについて思考する「ふるまい学」を提唱。
日本はリノベーションの時代に入りました。そこに斬新な視点から新市場を開こうと、三越伊勢丹と建築家、谷尻誠・吉田愛の協働が行われました。この家は「ニュー・ノマド」すなわち、定点居住というよりも、仕事で移動が常態となったような人々を対象としています。過密に働く彼らは交友の範囲も広い。どっぷりと暮らしにはまり込むよりも、月の半分を過ごす快適な拠点として、また、知人達を気軽に招いておもてなしができる、そんな空間を想定しています。世界は定住の時代から、再び遊動の時代へと動いているのかもしれません。
百貨店は、高い商品調達力で、ヴェネツィアングラスのシャンデリアでも、北欧の家具でも、京都の老舗表具店のふすまでも、自在に調達ができるはず。また築いてきた顧客との信用も大きな財産。建築家と施主の理想的な媒介者です。保守的になりがちな高額の取引に、ため息の出るようなソリューションを調達していきます。
INTERVIEW──谷尻 誠・吉田 愛
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三越伊勢丹
「常に上質であたらしいライフスタイルを創造し、お客さまの生活の中のさまざまなシーンでお役に立つことを通じて、お客さま一人ひとりにとって生涯にわたるマイデパートメントストアとなり、高収益で成長し続ける世界随一の小売サービス業グループ」となる。をグループビジョンに、常に百貨店の新しい可能性を創造している。
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谷尻 誠・吉田 愛 │ Makoto TANIJIRI・Ai YOSHIDA │ 建築家
2000年建築設計事務所Suppose design office設立。2014年 SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd 設立。住宅、商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、アートのインスタレーションなど、仕事の範囲は多岐にわたる。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設など国内外合わせ現在多数のプロジェクトが進行中。
賃貸住宅の大東建託と建築家、藤本壮介のテーマは「賃貸住宅の再定義」です。これまでの賃貸住宅は、専有空間を最大化し、共用部分は通路のみという構成でできあがっていました。しかし、もしもプライベートな空間を最小化し、キッチンや浴場、シアタールームや庭などを広々とした共有空間にしてみるとどうでしょうか。贅沢なキッチンで料理を堪能し、広々とした浴槽で身体を伸ばし、ゆったりしたライブラリーで気分を変えて読書ができるのです。
自分の部屋に続く居間的な空間を他者と共有するシェアリング・ハウスとも異なり、プライベートと共有部分を鮮明に区分けし、それらを新たに結合し直すことで、気持ちのいい賃貸住宅の形が見えてきました。
時間に余裕のあるお年寄りや、庭いじりの得手な人が共有部の庭を管理してくれれば、それを全員が楽しむことができます。単調だった廊下は心ときめく複合空間に変貌します。
INTERVIEW──藤本壮介
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大東建託
1974年創業。オーナーに代わり“賃貸経営のすべてを引き受ける”独自のシステム「賃貸経営受託システム」を事業活動の中心に据え、建物賃貸事業の「企画・立案」「設計・施工」「入居者の斡旋」「管理・運営」などを行う。2014年、多様化していくこれからの暮らし方に応えるべく、さまざまな視点から賃貸住宅の新しい価値を探究し、発信・提案・創造していく「賃貸住宅未来研究所」を設立。賃貸住宅のさらなる可能性を探究している。
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藤本壮介 │ Sou FUJIMOTO │ 建築家
1971年生まれ。2000年東京大学工学部建築学科卒業。同年藤本壮介建築設計事務所設立。主な作品に「House N」「武蔵野美術大学美術館・図書館」「House NA」など。JIA日本建築大賞、World Architecture Festival─個人住宅部門最優秀賞、第13回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展「金獅子賞」など受賞多数。
新技術を携えて住の先を見通すLIXILと、低コストで軽快な家を考える建築家、坂茂のコラボレーションです。
LIXILは風呂・トイレ・キッチン・洗面をひとまとめにし、給排水を床下ではなく上方に処理することで、水まわりを部屋のどこにでも配置できる画期的なシステムを生み出しました。生活に必須な機能を集約した「LIFE CORE」とでも呼ぶべき機構です。
また、重いガラスを、驚くほど軽くスライドさせることができる技術と、ガラス面を半分開いた位置で90度回転させ、側面方向にスライド収納できる機構によって、非常に広い開口部を持つ家が生まれました。
一方で、坂茂による、段ボールを薄板で挟み込む、強度と軽さを備えた素材を用いた建築構造も全く新しい着想。天井や外壁もシート状の素材をジッパーで固定するという、斬新な発想の住宅でもあります。構造が明快なので、施主が広さや間取りを自分で自在に構想できる点もユニークな特徴です。
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LIXIL
「世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」を理念に、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ、TOEX(旧東洋エクステリア)という住まいのトップブランドがひとつになって生まれた、住まいと暮らしの総合住生活企業。2011年4月創立。One LIXIL for Good Livingのもと、住まいの新築、リフォームから公共施設、空間まで、優れた商品とサービスを通じて、付加価値の高い総合的なソリューションを届けている。
-
坂 茂 │ Shigeru BAN │ 建築家・京都造形芸術大学教授
1957年東京生まれ。84年クーパー・ユニオン建築学部(ニューヨーク)卒業。82-83年、磯崎新アトリエ勤務。85年、坂茂建築設計を設立。95年から国連難民高等弁務官事務所コンサルタント、同時にNGO・VAN設立。フランス芸術文化勲章コマンドゥール(2014)、プリツカー賞(2014)など受賞。2011年より京都造形芸術大学教授、2015年より慶応義塾大学環境情報学部特別招聘教授。
家ではなく水辺です。木化を推進する住友林業の杉材と、角材をそのまま組み上げる建築家、隈研吾の設計よってHOUSE VISIONの会場は構築されています。ここに樹木を自在にあやつるプラントハンター、西畠清順が加入することで、心地よい樹木と水と木材の空間が生まれることになりました。
オリンピックを視野に入れつつ、8月のお台場に、水と親しむことのできる新たな植栽空間を実現しようというものです。市松状の構造は、樹木による木陰と、座って足を水につけることのできる深度のある水辺を生み出します。
庭とは、自然と人為の波打ち際です。HOUSE VISIONは3者のコラボレーションによって庭を手に入れることができました。技術の進歩と自然への理解が同時に進むと、人為と自然の境界は徐々になくなっていきます。西畠清順の植物を扱う手際によって、青々とした葉を繁らせた楓が、8月のお台場に出現します。
INTERVIEW──西畠清順
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住友林業
住友林業は1691年(元禄4年)の創業以来、山林経営、木材建材の製造・流通事業、住宅事業、リフォーム、その他住生活に関するあらゆるサービスをグローバルに展開している。木を植え、森を育み、資源として活用し、使った分をまた植える「保続林業」の理念のもと、持続可能な豊かな社会の実現に貢献していく。
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西畠清順 │ Seijyun NISHIHATA │ プラントハンター
1980年生まれ。明治元年より150年続く、花と植木の卸問屋、株式会社花宇の5代目。日本全国・世界数十カ国を旅し、収集・生産している植物は数千種類。日々集める植物素材で、いけばな・フラワーデザイン・室内緑化・ランドスケープなど国内はもとより海外からのプロジェクトも含め、年間2,000件を超える案件に応えている。
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隈 研吾 │ Kengo KUMA │ 建築家・東京大学大学院教授
1954年生まれ。79年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001年より慶應義塾大学教授。2009年より東京大学教授。主な作品に「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」「水/ガラス」「サントリー美術館」「根津美術館」など。日本建築学会賞、アメリカ建築家協会ベネディクタス賞、毎日芸術賞など受賞多数。主な著書に『負ける建築』『つなぐ建築』など。新国立競技場の設計にも携わる。
会場を構成する10.5㎝角の杉材を、数十倍に拡大したような、異様な建築は凸版印刷の展示ハウス。印刷技術を基本としたハイテクノロジーは環境素材に興味深い奥行きを生み出します。
近年、プリント化粧材は高度な進歩を遂げ、視覚的な精度やテクスチャーの付与によって、本物と見分けがつかないという水準を超え、木材以上の緻密さと安定性を実現しています。テクノロジーとの親和性の高さがプリント化粧材を新たな素材へと進化させました。
LED光を透過させたり、人々の生体情報をセンシングし、来場者とインタラクティブな交感を行ったりと、木目の迷宮は、環境を変革する凸版印刷のヴィジョンを体現します。
電気によって結晶をコントロールし、透明・不透明を無段階に変化させるシート素材は、展示ハウス内にも装着されています。
シート化されたセンサーを住空間に組み込むという考え方はまさに環境を印刷する事でもあります。凸版印刷は印刷技術の多様な展開でHOUSE VISIONの一角を担います。
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凸版印刷
1900年創業。印刷のもつ再現性や創造性、精密さを「彩り」、それを引き出す企画力やマーケティング力を「知」、技術力を「技」と表現。「彩りの知と技」を強みに印刷を通した情報・文化の発展に、時代の変化を先取りしたさまざまな技術をもって取り組んでいる。事業の核は「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3本柱。次世代へとつながる新事業の創出、BtoCのサービス事業など新しい領域へも事業をひろげている。
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日本デザインセンター原デザイン研究所 │ HARA Design Institute
原研哉を主宰とするデザインシンクタンク。依頼されてデザインを提供するオーソドックスなデザイン事務所の機能は健全に保ちながら「JAPAN CAR展」(2009年)、「犬のための建築展」(2012年)、「TAKEO PAPER SHOW 2014 SUBTLE」(2014年)など、産業の潜在力を可視化し、またものの捉え方や価値観を更新するビジョンを提起するプロジェクトを多数手がける。HOUSE VISIONでは製作・進行を担当。
TOTO・YKK APと建築家、五十嵐淳、そして家具デザイナー、藤森泰司が提案するのは「内と外の間/家具と部屋の間」です。始まりは「窓」を単なる壁の開口部と考えるのをやめ、そこに新しい機能を仮想し、空間の可能性を読み込んでみる五十嵐淳の着想でした。藤森泰司は、家具を、部屋から切り離された道具と考えず、空間と機能を同時に作り出す家具のあり方を模索していました。
結果として、窓は奥行きを持った開口部として発展し、内と外の間に、これまでにない不思議な空間が生み出されました。そこに、機能と空間を同時に生み出す家具が掛け合わされていきます。
具体化された展示ハウスは、扇の要のような部屋から、開口へと向かう厚みのある窓が放射状に展開し、安らぎも、入浴も、集中も、ダイニングも、それぞれを担う独立した空間として表現されています。この空間をなんと呼べばいいのか。全く新しい建築ボキャブラリーの誕生です。
INTERVIEW──五十嵐 淳・藤森泰司
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TOTO
1917年創業。トイレや浴室、水栓、キッチンをはじめとする水まわりの製品を通して、豊かな生活文化を創造する。みんなに使いやすいもの、地球環境にも配慮した暮らしの実現を基軸とした製品の製造はもちろん、増改築の領域など、暮らしの価値を高めるさまざまな提案を行っている。
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YKK AP
1957年設立。快適な住空間を創造する「窓やドア」、美しい都市景観を創造する「ビルのファサード」など、さまざまな建築用プロダクツを通して、これからの時代にふさわしい事業価値を創造し、生活空間から都市空間まで、一歩進んだ快適性を届けることを目指し事業を展開している。
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五十嵐 淳 │ Jun IGARASHI │ 建築家
1970年北海道生まれ。1997年五十嵐淳建築設計事務所設立、2005─10年北海道工業大学非常勤講師、2006─08年東北大学非常勤講師、2006年─13年名古屋工業大学非常勤講、2012年オスロ建築大学(The Oslo School of Architecture and Design)客員教授、2013年慶應義塾大学非常勤講師。主な受賞歴に、1996年日本建築学会北海道建築奨励賞、2003年第19回吉岡賞などがある。
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藤森泰司 │ Taiji FUJIMORI │ 家具デザイナー
1991年東京造形大学デザイン学科卒業後、家具デザイナー大橋晃朗に師事。1992年より長谷川逸子・建築計画工房に勤務。1999年に藤森泰司アトリエ設立。家具デザインを中心に据え、建築家とのコラボレーション、プロダクト・空間デザインを手がける。グッドデザイン賞特別賞など受賞多数。桑沢デザイン研究所、武蔵野美術大学、多摩美術大学、日本工業大学非常勤講師も務める。2016年よりグッドデザイン賞審査委員。
TOYOTAはハイブリッドの次の主流技術と位置付ける「PHV(プラグインハイブリッド)」で参加しています。電気でも、ガソリンでも走り、ソーラー充電システムにより太陽光発電もできる省エネルギーのクルマ。また、大容量の電気を蓄えることができるPHVは“エネルギーの供給源”と考えることもできます。
建築家、隈研吾の着想は、PHVの荷室に、軽く強靭な炭素繊維の骨と、丈夫で空気を通さない繊維でできたテントを、できるだけたくさん畳んで格納し、これをエネルギーインフラのない異界に展開してみるというものです。複数のテントを開いていくと、予想外に大きな空間容積を得ることができます。ここにエネルギーと情報をクルマから注入すれば、半島の突端のような辺境地にも、居心地のいい快適空間が確保できます。ひとつ屋根の下にいても独立して過ごしがちな家族も、異界の快適空間を舞台にすることで新しいつながりを見つけることができるかもしれません。
クルマは移動だけの道具ではありません。居住空間との新たな関係を拓いていくものでもあるのです。
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TOYOTA
「クルマづくりを通して社会に貢献する」を創業理念に、もっといいクルマづくりに向けたチャレンジ精神のもと、クリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、国際社会から信頼される良き企業市民を目指す。次世代の社会づくりのために「スマートモビリティ社会」「バイオ・緑化事業」「パートナーロボット」など、未来のモビリティ社会と豊かなライフスタイルに向けてクルマづくりを超えてさまざまな取組みを行っている。
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隈 研吾 │ Kengo KUMA │ 建築家・東京大学大学院教授
1954年生まれ。79年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、2001年より慶應義塾大学教授。2009年より東京大学教授。主な作品に「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」「水/ガラス」「サントリー美術館」「根津美術館」など。日本建築学会賞、アメリカ建築家協会ベネディクタス賞、毎日芸術賞など受賞多数。主な著書に『負ける建築』『つなぐ建築』など。新国立競技場の設計にも携わる。
新しいスマートフォン「TONE」のサービスを始めているカルチュア・コンビニエンス・クラブは、今日の家族を作る要因は、物理的な「家の屋根」ではなく、サービスで家族の関係を生み出す「電波の屋根」であるといいます。たとえば、福岡で一人暮らしをするおばあちゃんと東京の三人家族は、TONEのサービスを共有することで緊密につながります。子供はお父さんの端末にアプリをおねだりし、お父さんはこれを管理します。お父さんは子供の位置情報や、おばあちゃんの1日の歩数や、端末の充電状況なども把握できます。「トントン」とガラス面を叩くと、相手の端末にノック音が響きます。叩き方の意味を決めておくと意思疎通も円滑に。
こうしたサービスは、離れて住む人々を近づけ、新たな親密さを生み出します。まさに実際の屋根と同じほど、熱い人間関係がそこに生じるわけです。会場ではVRによって、悲喜こもごもの「電波の屋根による人間ドラマ」を、コントで堪能いただきます。
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カルチュア・コンビニエンス・クラブ
1983年、モノを買う場所ではなく、スタイルを選ぶ場「TSUTAYA」を創業。それから30余年「カルチュア・インフラをつくっていくカンパニー」として、常に時代に沿った文化やニーズに対応しながら、新しいライフスタイルの提案をしつづけてきた。「TSUTAYA」を中心としたエンタテイメント事業、「Tポイント」によるデータベース・マーケティング事業のほか「武雄市図書館」「蔦屋書店」「蔦屋家電」など、新たなサービスの企画・運営を行っている。
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日本デザインセンター原デザイン研究所 │ HARA Design Institute
原研哉を主宰とするデザインシンクタンク。依頼されてデザインを提供するオーソドックスなデザイン事務所の機能は健全に保ちながら「JAPAN CAR展」(2009年)、「犬のための建築展」(2012年)、「TAKEO PAPER SHOW 2014 SUBTLE」(2014年)など、産業の潜在力を可視化し、またものの捉え方や価値観を更新するビジョンを提起するプロジェクトを多数手がける。HOUSE VISIONでは製作・進行を担当。
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中島信也 │ Shinya NAKAJIMA
1959年生まれ、武蔵野美術大学造形学部卒業。東北新社取締役専務執行役員、CMディレクター。1993年に日清カップヌードル『hungry?』がカンヌ国際CMフェスティバルでグランプリを受賞。主な監督作品に、サントリー『燃焼系アミノ式』、ホンダ『HONDA StepWGN』、サントリー『伊右衛門』など。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科・デザイン情報学科客員教授など社内外での若手人材育成にも力を入れている。
暑い8月のお台場に登場するのは「冷涼珈琲店─煎」。水羊羹に合うAGFのコーヒーを、大きめの氷とともに提供するお休み所を、建築家、長谷川豪が設計しています。麻を用いたテントは風通しもよく、来場者に気持ちよく一息ついていただく日陰を提供します。
INTERVIEW──長谷川 豪
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AGF
1973年設立。「コーヒーを中心とした商品をとおして顧客満足を実現し、社会に貢献しうる存在であり続ける」を理念に、いつでもどこでも、最高のおいしさで一杯の価値(やすらぎと健康)を提供する「日本一愛される嗜好飲料メーカー」を目指している。日本の軟水に合う豆を選び抜き、その特徴を引き出す焙煎方法を追求するなど、「日本のコーヒー」ということに気を通わせた製品づくりにも取り組む。
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長谷川 豪 │ Go HASEGAWA │ 建築家
1977年埼玉県生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了後、西沢大良建築設計事務所勤務を経て2005年長谷川豪建築設計事務所設立。東京工業大学非常勤講師、メンドリジオ建築アカデミー客員教授、オスロ建築大学客員教授を歴任。現在カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)客員教授。主な受賞歴に、平成19年東京建築士会住宅建築賞金賞、第24回新建築 賞、AR Design Vanguard 2014。新刊にヨーロッパ建築家へのインタビューをまとめた『長谷川 豪 カンバセーションズ』(LIXIL出版, 2015)