2016.7.26

INTERVIEW──藤本壮介 |[賃貸空間タワー]大東建託

賃貸住宅の大東建託と建築家、藤本壮介のテーマは「賃貸住宅の再定義」です。これまでの賃貸住宅は、専有空間を最大化し、共用部分は通路のみという構成でできあがっていました。しかし、もしもプライベートな空間を最小化し、キッチンや浴場、シアタールームや庭などを広々とした共有空間にしてみるとどうでしょうか。贅沢なキッチンで料理を堪能し、広々とした浴槽で身体を伸ばし、ゆったりしたライブラリーで気分を変えて読書ができるのです。
自分の部屋に続く居間的な空間を他者と共有するシェアリング・ハウスとも異なり、プライベートと共有部分を鮮明に区分けし、それらを新たに結合し直すことで、気持ちのいい賃貸住宅の形が見えてきました。
時間に余裕のあるお年寄りや、庭いじりの得手な人が共有部の庭を管理してくれれば、それを全員が楽しむことができます。単調だった廊下は心ときめく複合空間に変貌します。

 

藤本壮介 建築家

1971年生まれ。2000年東京大学工学部建築学科卒業。同年藤本壮介建築設計事務所設立。主な作品に「House N」「武蔵野美術大学美術館・図書館」「House NA」など。JIA日本建築大賞、World Architecture Festival─個人住宅部門最優秀賞、第13回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展「金獅子賞」など受賞多数。